今朝、事務所の気温は10度をきっていた。
エアコンではぜんぜん温まらないので石油ストーブを持ち出してくる。 原油暴落と円高のおかげで心置きなく使えるが、韓国など通貨の暴落している多くの国々ではさぞ難儀な話であろう。 オーストラリア在住の日系の方から膨大な蔵書の整理を仰せつかっているのだけれど、この方は貿易を生業にしているのでこの間の為替の乱高下に四苦八苦していると言う。 オーストラリアドルは日本円に対して暴落しているので日本で処分した蔵書の価格は相対的に高くなり喜ばしいのだが、日本からの輸入価格は暴騰してほとんど商売にならないらしい。 他方日本に輸出していた物が高級食材であったために相対的に格安になったにもかかわらず景況感悪化でこれまたまったく売れなくなってしまった。 これまでは毎月のように来日していたのが次に何時いけるか分からないまでに窮迫しているとの連絡が来た。 このようなことはいわゆる実体経済の需給関係とは無縁の力学によって支配されているのである。 為替の変動は購買力平価とは無縁の資本の論理に支配されておりこれは需給曲線から導き出される均衡価格とはまったく乖離してしまっている。 前にも言ったが、「市場」という言葉で我々は「売買」と「貸借」という本来まったく違った人間の経済的関係性をいっしょくたに混同してしまっているのである。 金融破綻以降評判の悪い「市場経済至上主義」だがここでも売買にかかわる市場と資本の市場(貸借)とを混同してしまうのは非常に危険である。 本を売買する商人として私はある意味で市場経済至上主義者である。 自由と平等に基づいた市場こそは条件でもあり目的でもあるのだ。 他方、資本市場がゼロサムだと言われるのはそれが本来貸借関係によって成立している以上、いかに複雑で巨大な構築物を形成しているとしても貸借関係の解消は原理的にゼロとなる。 信用収縮とは理念としてはそのようなものである。 実際にゼロにまでいたらないのはいわゆる経済の粘着性といわれる「現実」の奥深さがあるからなのだろう。
by nhsmt
| 2008-11-24 17:40
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