このところいきなり秋の風情だ。
法師蝉は一度もきかなんだが虫達が一斉になきだした。 夜風が心地よい。 商売を個人商店から法人にしたらどんなものかと思案する。 岩井克人の「会社はこれからどうなるのか」には 法人名目説と法人実在説などまるで古典的な哲学論争のごとき観点が紹介されている。 株式会社も協同組合もNGOやNPOはたまた今や大学さえもすべて法人である。 法の下の人格というわけだ。 だがこれらがすべて名目であって実在しないのだとしたら・・・。 法人を土地や建物などのモノだと考えればこれは実在するにきまっている。 だが法人とはそのようなモノの総和ではなくそれを所有するあるいは支配する主体としての法的人格なのである。 つまり法人とはヒトではないがヒトとヒトとの特定の関係性につけられた名称である。 関係性というものはあるといえばある無いといえば無い、見ることも触ることもできないばかりか時間とともに変化する不思議なものだ。 最も不思議なものは、法の名において法人に人格をあたえる主体としての「国家」であろう。 世の中にその実在について根拠の無いもの「一に神様、二に国家、・・・」。 だがヒトは通常はそうは考えない。 根拠の崩壊という危機に直面するとヒトはこの最も根拠の無いもの、大いなる無こそが世界の根拠の源泉であるという倒錯に陥りがちだ。 その意味では共同体の崩壊したところに国家が成立するというのは正しい。 そしてカフカの「城」のような不可視の怪物たちはいつのまにか変質して根拠の源泉であるどころかあらゆる不安の張本人となる。 だが不安を内面化してはいけない。 容易に克服できない現実的な困難は確かに存在するが それはゆっくりと着実に解決していけばいいのである。
by nhsmt
| 2006-08-28 22:11
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